或る女


妻のご両親が家に来ていて、食事の後、何をするでもなく、お父さんとテレビを見ていて、…本当に何をするでもなく何にもする事もなく話す事もなく、そのまま黙って、NHKの囲碁の時間を延々90分ほど、ふたりほぼ無言で見続けてしまった訳だが、しかしこれは結構面白かった。マジで苦痛とか退屈とか、そういう感じではなく、ルールとかさっぱりわからないんだけど何か二人の、大のオトナが向かい合って唸りながら対局しているのを、ずっと見ているのが楽しかった。んで、これってどっちが勝ってるんでしょうね?なんて話しかけると、いやー私もわからないんだよね(笑)みたいな感じで、もうどうしょうもなくなすすべなく、ただ時間は流れていくのだが、そのうちお父さんがうつらうつら居眠りし始めたりもするのだが、とりあえず僕は最期まで、その対局を見続けていたのであった。でも結局、その対局は放送時間に収まりきらず、残りの手がダイジェストで放映され、あっけないエンディングと相成った。。


あと、妻のお父さんは(碁にそれほど詳しくないのに)そのテレビを毎週見てるらしく、その番組司会をやってる女流棋士を自分の娘に「似てると思うんだけどね」と言うのであった。そしたら、お母さんの方も「まあ雰囲気は似てるわね」とか言うのであった。なので、僕は、その番組をはじめて見るし、その女流棋士もはじめて見るのだが、その女性が自分の妻に似てるのだ、という話であるから、なるほどそうかと思い、最初見て、すごい違和感を覚えて「ええー!?これは似てないでしょ!!」と脊髄反射的に思ったのだが、じっくりと見てるうちに「ああ!なるほどこれはまあ、似てるのかも!」と思い直してきて、そのうち、実の両親が、自分の娘との共通項を見出すとしたら、こういう感じに見出すか!!と思ったら、なんと言うか、得体の知れぬ感動のようなものが込み上げて来てしまうのであった。。


で、さっきも妻が寝たので、その女流棋士をこっそり検索して、画像とか確認してる訳です。うーん。そうですか。。そうですか。そういう事なんだね。なるほどねーいい話だな。