中村彝 「頭蓋骨を持てる自画像」


高校のとき美術の教科書に出ていて以来印象的だったヤツの実物を竹橋の近代美術館ではじめて(2回目かもしれない…)見た。エロシェンコさんは何度も見てるが、おなじみのその絵と、「頭蓋骨…」が隣同士にあって展示されてる。常設フロアには、風景画や別の自画像もあり、複数の中村彝作品をまとめて見ることができる。


セザンヌと、ルノワールと、エル・グレコあたりの折衷に、「私」の自意識をまぶした如何にも日本の洋画テイストな中村彝である。でも僕なんか10代の頃は、これが本物の「表現」というモノなのだろうって信じてた時もあったので、その時点で僕も若くして相当絶望的な人なんですが、まあ、いろいろな意味で思い出深いのであった。


しかし「頭蓋骨を持てる自画像」は実際、なかなかバカにしたものでもなくて、こういう日本近代美術を「はいはい結構だね。猿真似の得意な日本人の歴史ね」とか、簡単に言える人がいるのだとしたら、そういう人は、きっと現実に目の前にある「絵画」を愛してないんだろう。と言いたい。僕は、なんだかんだ言っても「絵画」を愛している人なので(苦笑)、「頭蓋骨を持てる自画像」も、時間を掛けてかなりじっくり観たのでした。


…まあ…わたし昔から、絵画を愛しているわ!なんて思ってきたし、絵画から愛されたいわ!!とも、思ってきたところがあるのかもしれないけどでも、制作者なら「絵画」をあんまり愛してない人の方が、却って「絵画」からは愛されるのかもしれないわね…