埼玉県立近代美術館のルノワール


http://www.momas.jp/004josetu/J2007/j2007.10/kaijo.jpg


奥底から凍える程の死ぬほど寒い日。気合入れて外出し埼玉近代美術館に行ってきて、企画展・常設展共に観てきたのだが、総じて大変面白くて、心も体も活性化したような感じになった。とりあえず常設で観たルノワールについて書く。


上の写真画像にあるように、ルノワールの「三人の浴女」が額から取り外されて、ガラスケースの中で横に寝かせた状態で置いてあるのだが、これが結構ショックでかい。ルノワールのタブローだと、如何にもな感じの金の額縁に入っているのがほとんどなので、キャンバスのみの状態を観る事ができるだけでも新鮮だが、どっちかっていうと、額縁から取り外されている事のショックよりは、絵が横に寝かせられたままの状態で置かれてある事のショックが、ことのほかでかい。そこに寝た状態で在るタブローを観てるとルノワールが本来持っている過激なグシャグシャのヤバさが剥き出しになってるような、ちょっと大げさかもしれないけど、何だかついさっきまで描いていて絵の具がまだ乾いてないかのような生々しさでそこにある感じすらある。


…何しろ床と水平な状態に置かれた平面を見るというのは、壁に掛かった平面を見るのとは、まるで違う体験である。当たり前だけど、ガラスケースの四方から見れるので、「三人の浴女」を上からも下からも横からも見れるのである。そうすると当然の事ながら作品の具象性がほとんど感じられなくなる。三つの人体が形作っている「図」の部分より、その周囲とキャンバス枠との間に過剰に展開されている「地」の有様ばかりが目に飛び込んでくるのだ。…まあ、もちろんこういうのは普段見慣れない事から来る新鮮さ、というだけで、単にいつもと違って見える!という面白さでしかないとも言えるのだろうが。