俳優の表情

アカルイミライ」という映画の中で、毒性のクラゲが泳ぐ水槽に、そうとは知らず不用意に手を入れてる笹野高史をみて、オダギリジョーが、あ!それはヤバイっていう感じで止めようとするのを、浅野忠信がさっと制止させて、そのままじーっと黙って、事の成り行きを観てるシーンがあったのを今、ふと思い出したのだけど、ああいう瞬間というのは、映画の「俳優」という役割の人が存在する事の、強烈なまでの理由がはっきりと示されているように思う。あそこでの浅野忠信の態度、というか顔の表情というのは、もう浅野忠信という役者だけでしかあらわしようのない事だと思う。あそこでの浅野忠信の表情とは、絵や文章に置き換える事が、絶対できない何かだろうと思う。というか、映画そのものとも関係が無いかのようだ。とにかく、あれはこの現実と確かに接点をもった、怖ろしいような何かである事だけは確かだ。。