幸いなるかな。悲しむ者


幸いなるかな、心の貧しき者。天国はその人のものなり。幸いなるかな。悲しむ者。その人は慰められん。幸いなるかな。柔和なる者。その人は地を嗣がん。幸いなるかな。義に飢え乾く者。その人は飽くことを得ん。幸いなるかな。憐憫あるもの。その人は憐憫を得ん。幸いなるかな。心の清き者。その人は神を見ん。幸いなるかな。平和ならしむる者。その人は神の子と称えられん。幸いなるかな。義のために責められたる者。天国はその人のものなり。我がために、人なんぢらを罵り、また責め、詐りて各様の悪しきことを言うときは、汝ら幸いなり。喜び喜べ。天にて汝らの報いは大なり。汝らより前にありし預言者達をも、斯く責めたりき。


また古えの人に「いつわり誓うなかれ、なんぢの誓いは主に果たすべし」と云える事あるを汝ら聞けり。されど我は汝らに告ぐ、一切誓うな、天を指して誓うな、神の御座なればなり。地を指して誓うな。神の足台なればなり。エルサレムを指して誓うな。大君の都なればなり。己が頭を指して誓うな。なんぢ頭髪一筋だに白くし、また黒くし能はねばなり。ただ然り然り、否否といえ、之に過ぐるは悪より出づるなり。(マタイ伝5章)