「High Tech Soul The Creation Of Techno Music」


High Tech Soul The Creation Of Techno Music [DVD]


DVDにて。ホアン・アトキンスデリック・メイケヴィン・サンダーソンデトロイトテクノの主要人物がシーンについて色々と語るドキュメンタリーである。おそらくこの最強のクリエイターにして超エネルギッシュな営業マンみたいなデリック・メイという人物の果たした役割は、デトロイト・テクノがこれだけ世界で人気を獲得していった要因としてけっこう大きいんだろなぁと思った。極めて非人間的なビートに含まれるファンクネスがあって、かつその上でメロウな感傷に流されすぎなほどの旋律がのっかるという、デトロイト・テクノにありがちな雰囲気がって、それの理由というか、それに至る背景というか、その出自というか、そういう音楽の感じを何とか簡単に単純化して言葉で相手に説明する必要があるとき、それをするにあたり、このデリック・メイという人物はまるで大学のサークル部屋でやたらとエバリ散らしてるお山の大将そのものみたいな態度で、俺たちの音楽がそのようになってる訳を、どんな相手を前にしてもすごく情熱的にかつ上手い事説明してくれるのだろうと思う。というか逆に、おそらくこの人物のこのパーソナリティで語られた言葉こそが、今のデトロイト・テクノの雰囲気というか、そのカラーをある程度決定しているのかもしれない。デトロイトという都市の荒廃や人種問題とか、そこで生きる人間のアイデンティティとすごく絡めて語られがちな、デトロイト・テクノ特有の空気も、おそらく何割かははデリック・メイのせいでそうなっているのかもしれない、などと思った。


DJプレイのシーンはほんの少ししかなくそれを楽しみたい向きには欲求不満感が残る内容であろうが、それでもほんの少しだけ聴けるサウンドの断片だけで、僕の場合もう死ぬほど高揚できるくらいの状態であって、たぶん今の僕をテクノで喜ばせるのは小学生男子を下ネタで笑わせるのと同じくらい簡単である。。