シャワーのあと裸で部屋をウロウロする。脱衣所のブラインド型の羽根が折り重なっていてハンドルを回すと羽根が持ち上がって外の風が通るようになっている隙間から外の様子が見える。玄関ドアを出てすぐの外灯に照らされて薄汚れている感じの床面が見える。外の空気の匂いがこちらまではっきりと感じられる。外からの風が身体にあたる。今いる家の壁の一枚向こうは外だ。風呂場の湯気が窓の外へどんどん逃げていく。脱衣所を出て向かいにある部屋の窓も大きく開けてある。白いカーテンを引いて外から中が見えないようにしているが、外へ出て行こうとする風がカーテン全体を窓枠にべったりと押し付けていて、ぴったりと窓に貼り付いたカーテンのせいで風の流れが遮断されてしまっているので、少しだけ外が数センチ見えるくらいにすると、風がすごい勢いで流れて窓の外へと逃げていく。目に見えるほど、爽快なくらいぐんぐんと風が流れていく。自室と反対の方にあるリビングの窓も開けていて、そこから激しく風が流れ込んできては逃げていく。風が外も内もおかまいなしに流れている。勢いのある川みたいに。身体に感じる風の圧とたちこめる匂いは、ほとんど外にいるのと一緒だ。さすがにまだ裸のままでいるのはあまりにも自由すぎるので衣服を身に付けようかと思う。風のおかげで皮膚の表面はすでに乾いている。こうして裸の格好で風の流れを身に受けていられるなんてほんとうに良い季節だ。こううのはほんとうに今だけだ。