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蒸し暑さで缶ビールの周囲につく水滴の量がものすごくて、缶を持った手がタオルで拭きたくなるほど濡れる。缶の置いてあるテーブルの周りも、こぼしたかのように激しく濡れる。中の液体は、さっき空けたばかりなのに、半分も残っている内に、あっという間に温くなってしまう。これではただの、温い液体の入ったやたらと表面から水滴がぼたぼたこぼれるアルミ缶に過ぎないではないか。しかしそれを無理に喉に流し込むところが如何にも夏という感じである。このぬるい感じ。ぬるいくせに、空けてからまだそれほど時間が経ってないから炭酸は強く口内を刺激し、ぬるいのに過剰な炭酸の、苦味と甘味がそれぞれそのまま溢れ出したかのような、妙な液体をひたすら腹の底に流し込んで、こみあげてくるものに、げーーっとなって、仕方が無いので歯を磨いて寝ることにする。空っぽになって缶はまだ、猛烈にたくさんの細かい水滴を表面にたたえているが、見た目よりも、とても軽くなっているので、ときおり吹き込んでくる風にふかれて、まるで紙のように、たまにゆらゆらっと揺れている。