横顔


別にさほど親しい訳でもないし、特別気が合う訳でもないが、仕事の都合上、図らずも長年の付き合いになってしまっている人というのはいて、そういう人との関わりというのは、ある意味まったく無駄のない、そつのない、完全効率型の、ビジネスに特化した形式として長続きしている訳で、逆にいうと、そういうビジネス特化型だからこそ、無理なく長続きできているとも言える訳で、それはよく考えてみると本当にその通りで、別に必要に迫られている訳ではないのに、他人とこれほど近い距離を延々と何年にもわたって保ち続けていられるなんて、そうそうあるものではないと思う。その意味では「夫婦」の関係と、似て…いないけどある種の同構造かもしれない。まあ仕事の関係というのは「関係」よりも「仕事」が主であるから、そのために関係を保たなければいけないというモチベーションをお互い支えあう面もあるのだと思う。


でも、そういう相手の横顔にふと、白髪を発見してしまうというのは、結構軽くショッキングな出来事なのだ。ああこの人も普通に、年取ったんだなあと思ってしまう。そう思ったのは電車の中だったのだけれど、いつものその人の姿が、電車の社内にいることで、周囲にいる人々の中に紛れてたたずんでいるのを改めて見ることで、ああこの人はもう、さすがに年をとったんだなあと、改めて思ってしまった。というか、そこに白髪とかを発見したくない相手なのかもしれなかった。そう思われること自体も驚きで、何か納得しかねるものも感じてしまうのだが。そういう何かが垣間見えることが、何かを揺らがせるように思われた。