軽美術部


北千住にて、第一回「軽美術部」を開催した。勤め先の有志によって結成された、お絵描きグループの会合である。メンバーは会社の女の子三人(+飲み会のみ参加一名)と僕。東急ハンズでスケッチブックとかを買い、商店街でモティーフにするためのピーマン、大根やあじさい、などを買い、東京芸術センターの会議室でデッサンをやった。


思いのほか真剣な、緊張感に満ちた一時間が過ぎ、あるときを境に、ふいに緊張がとぎれて、その後はゆるゆるな空気が流れて、さらに二時間ほど過ぎたところで「品評会」をやった。並べられた皆の作品を見て、え?っと思うほど、それぞれの人の個性があって、それが生々しいほどの濃厚さで感じられたので、ひそかにたじろぐというか、うわーと思う。まだ素材をひたすら同じようにしか使ってないので(初心者レベルだから当たり前だけど)もっと多様な表情を出したほうがいいよとか何とか、もっともらしいことを言いながらも、ああこの人はこういう線をひくんだなあ、この子は、こういう「粘り気」があるんだなあと思って、そのことの驚きをなんとか伝えたくて、たどたどしくも、それを口にした。


ちなみに自分は、お手本的な風にも描くべきだったし、でも勝手に自分の描きたいように描いていたけど、でも結局は、空気とその場に完全に縛られた行為しかやってない。なかなか、難しいものだ。でもまあ、ひとまずはそれでよい。あくまでも自分の中で、少しずつ、何かが変わる兆候さえ感じられて、それがそのまま出される事を確認できれば。。そのように投げ出されることを、試すために。


それにしてもみんな、自分の作品の前にいるときだけは、とても謙虚で、外からの言葉にも無条件に、従順なのだ。会社にいるときとか、ランチタイムとか、こんな状況でなければもう、迸るように、のべつ幕なしお喋りするくせに、自分の描いた絵を前にすると、ほんとうに、驚くほど、しんみりとして、これからお嫁に行くんですか?と言いたくなる位、しおらしくなるのだった。それが、何とも、切ないような、可愛い感じ。


たぶん、まだまだ「自由」への道は遠い、という事だね。だから引き続き、それぞれが思い思いに、頑張りましょう。皆の未来がもっともっと希望に満ちた、明るい笑いをたくさん含んだ、楽しいものになるように!!


夜になって、北千住飲み会。北千住の飲み屋街ほど、あー飲み屋がひしめき合ってるって、こんなに素敵な事なのかね!と思わせる空間もないと思うのだけど、でも店一軒一軒は、それなりに世知辛い。それもまた世間だよね、という感じ。でも北千住で飲むのは良い。帰りが早いのが何より。