小さな船


せっかくだから、いまの時間を大事にもしたいし、何か書くか。どうせなら、今日が十二月二十一日だという事を認めて、日付を当日にして書いてみたらどうだろう。どうせ明日が今日と同じ調子で書ける保証もないのだし、日付なんて放っておけばどこまでも経過してしまうようなものなので、ふと気付けば結局また何日か何十日か知らないけどずれてしまうのだから、今更今日が何日を指しているかなんてあんまり大した問題でもないとは思うが、まあとりあえずリセットした。


船というのは、海に浮かんで、波間を切り裂いて進んでいくものだけど、小さい船だと、実際にはそんな簡単なものではなくて、浮かんでいて、波間を切り裂いて進みながら、自分の身体も小さいものだから、船全体が完全に水に沈んでしまって、また浮かび上がって、甲板から操舵室からすべて水びたしになって、また高い浪の真っ只中に突っ込んでいって、ざぶりと沈んで、しばらく影も形も見えなくなって、ついに死んだかと思ったら、ふいにぐいっと浮上して、なおも進む、みたいな、小さい船が高波を進むというのは、そういうものである。実にダイナミックである。でも船員は皆、死ぬ思いである。というか何人かは、浪に浚われたり、溺れたりして死んでいるだろう。船自体が溺れながら進むんだから、中の人間なんてどうなろうが誰もわからない。小さな船なんて、そんなものだ。とにかくひっくり返らなければ、上が下を向いた状態にさえならなかれば、なにしろ船が進む。意外としぶといし、たくましいものだ。でも浪が高すぎてあまりにも酷くてもう見てられない。