寝る


ばたばたばたと働いて、慌てて会社を出て小雨の降る中駅まで小走りに走って終電間際の電車に乗って、駅に辿り着いたが雨脚は衰えておらず却って強まっていて、仕方ないのでコンビニでビニール傘を買って、冷たい雨の中、傘を挿して、片方の手に鞄をぶら下げて、その姿勢のまま黙々と歩いて家まで帰る。強烈に冷え込んだ空気の中をただひたすら歩く。べつに寒くも暑くもない。疲れてもいない。空腹感もない。ただ機械のように猛然と歩くだけ。歩くことと寝ることをちゃんとやる。そして帰ってきて、もう寝るんだけど、こうやって文章を書くというのはそれまでの機械的な流れすべてに逆行する感じだ。こうして書いているだけでもそれ自体ですごい。今日は何が書いてあるかなんてまったくどうでも良いのだ。書いてるだけでも、ほんとうにそれ自体ですごい。疲れていて眠いのに書いていて俺って偉い、という話ではなく、こんなに機械的な一日なのに、その終りでその日の自分を明確に裏切っているかのように、はっきりと違和感を感じる事にあえて手を出しているかのように、こうやって書いてる事がすごい。まったく自分は自分自身に対して嘘つきだと思う。しかし自分自身に対して嘘をつき続けることだけが自分自身に対して正直で誠実な態度なんだ、という人もこの世にはいるだろう。自分で自分を回避するやり方というか、自分の動作のさせ方を自分なりに知っているつもりの人もいるだろう。そういうのは基本的に実績に裏打ちされた正しい認識なのだ。まあどうでもいいや。まったく何を書いているのか、今自分でもわからない。