立像俯瞰


人物を上から見た図を描きたいと、数日前から思っていて、その感じをぼんやり想像している。人を真上から見ているので、頭頂部と両肩以外は、ほとんど圧縮されてしまって見えない。表情もわからないし服装もはっきりわからない。背丈も恰幅も、場合によっては性別もわかり辛い。しかし人体としての構造だけは(ほぼ全て圧縮されたかたちで)ある。地面に頭頂部部と、両肩と、あと両手の先と両足の踵または両足の甲が、飛び出したように少し見えているだけ。塔を真上から見たときと同じように、人を真上から。あるいは、しゃがんでいて良い。しゃがんでいる人を真上から見ると、上半身はまあ前述のとおりだが、腰から膝までが巨大な平面として出現し、押しつぶされた太ももの肉が扁平になりテーブルのようになる。膝下がその平らな台の下にかすかに見えるようになる。もっと身体を小さく屈めた格好になると、背中の丸みの方が強くなる。背中を丸く見せてしまうと、真上から見た人物という感じは薄れてしまう。あくまでも、頭頂部と肩と、しゃがんでいるなら太ももから膝にかけてと、あと足の先が少し見えるだけ。これを圧縮図として、上から抑え付けたような力を加えて描く。おそらくこの作業が重力をあらわす行為そのものとなる。力を加えるためには、行為がほとんど暴力的なふるまいでなければいけない。上から殴るように。