Cruisin'


一日家に居るとぼんやりとしてきて煮詰まってくる、などという事も、僕など最近はあまりないのだが、でもそういうときもあるにはあるだろう。そういうときは色々と考え込まずに、とにかく自分をどんどん別の場所に運んでしまうべきだ。気分、というものに、あまり自分が振り回されないようにすることが大事だ。気分などというものは、自分全体に対して、ほんの一部に過ぎない。そもそも、自分を上手く扱いたいなどと思わない方がいいのだ。自分なんて、何をするかよくわかないし何かをしたとしてもどうせ大した事もしないような、ありふれたなんでもない存在に過ぎないのだから、そんな程度の自分に対して色々と思い悩むほどの価値もないのだ。まあ適当でいいや、このへんでいいや、という感じで充分なのだ。自分なんて結局、操作方法のいまいちはっきりしない乗り物なのだから、それを上手くコントロールする事に努力の方向を向けてもしょうがないのだ。コントロールできたからと言って、別にそれに何の価値もないのだ。それよりも乗り物の加速する具合や旋回の感触や制動時の過重具合を、常に新鮮な気持ちで楽しみながらリアルに感じ続ける方が面白い。べつに自分とうまく付き合うとか、そんな必要はないのだ。面白い事を選ぶべき。面白さというものの本来もつ無遠慮で無骨な冷淡さをおそれないことだ。現実というものの手触りを積極的に前向きに受け入れようとしてみることだ。そうしてさっぱりとした外気に直接触れながらクルージングしている自分を、他人事のように眺めていればいいのだ。それで、こうしたいと思う事があったら、それをやってみるために、自分を使ってみればいいのだ。自分の使い方を考えてみればいいのだ。