チェーホフ


 十二月中ごろからずっと、チェーホフの戯曲を続けて読んでいた。岩波文庫のかもめ、新潮文庫のかもめ、それからワーニャ伯父さん、それから新潮文庫の三人姉妹。今日、三人姉妹を読み終わったのだが、ただでさえ、ばらばらとつかみどころのない話が、神西清の訳だとよりいっそう把握しがたく感じてしまい、助け舟を求める気持ちで今日、北千住の本屋に行って光文社の浦雅春の訳のやつを買って、この三人姉妹を読み始めたら、なんだかびっくりするくらい、誰が何を言って、そこでぜんたいに何がおきてるのかが、まるでちゃんと度数の合ったメガネをかけて景色を見たかのように、すごくよくわかる!単に、僕の読解力がないというだけの話かもしれないが。でもチェーホフは二回繰り返して読んでも楽しい。二回目のほうがより面白い。
 ビーチボーイズの「ライヴ・アット・ネブワース」を観る。たいへんタイトでちゃんとした演奏で、すごくいいライブ盤。オープニングのカリフォルニア・ガールズがイントロからすばらしく、サビのコーラスのハモりでほとんど感動。
 今年は映画をほとんど観なかった。劇場に行ったのはたぶん二、三回。DVDは全然観てないに等しい。今日は久々に映画を観た。ザ・ロイヤル・テネンバウムズ。画面の枠の中を、さまざまな登場人物たちの、ばたばたと現われては、次へ次へとお話の展開にのって進んでいくのを観て受け取りながら、なんだかチェーホフの戯曲を、映像でみているみたいな錯覚をおぼえた。