図柄


 いまの千円札の図柄の人物は誰か?と聞かれたら、何のうたがいもなく夏目漱石と答えてしまう。今は野口英世であると、すぐに出てこない。実感がわかないのだ。2004年に図柄が変わって、千円は野口英世になっているのだが、そのことを忘れているので、今でもずーっと昔のままだと思っていて、ふだん実物の千円札を見ても、図柄のことは意識しないのでその違和感も感じず、昔の記憶だけがいつまでも、間違ったままで保持され続けているのだ。
 自分の記憶で最も古いのが、千円が伊藤博文、五千円と一万円が聖徳太子の時代。これは子供時代という感じがする。80年代になって、千円が夏目漱石になって、五千円が新渡戸稲造になって、一万円が福沢諭吉になった。この改変がもっともインパクトがでかくて、というか、紙幣のデザインって変わるのか!?といううまれてはじめての驚きが強かったので、いつまでもおぼえていて、いまだに紙幣といえばこれだと思っているようだ。
 それ以降は色々と変わるので逆に全然おぼえてなくて、結局今はどの札がどの図像なのか、実際に見て確かめないとわからない。紫式部が幻の二千円になってしまったことはおぼえているが、それはエピソードとしておぼえてるだけ。で、さっきインターネットで各紙幣の図柄を調べていて、紫式部じゃなくて樋口一葉?これって…いつの紙幣だ?と思ったら今だった(マジ)。五千円札見たことないんじゃないの!?と思われそうだが、見た事はある。でもなぜか全然記憶してないのだ。これを書いてる今もまだ違和感がある。いま、五千円って新渡戸稲造じゃないんだよ、と急に言われたら、嘘でしょ五千円はまだ新渡戸でしょ、と、素で言い返してしまう。