涼しい夜


朝起きて、うわー飲みすぎたと思った。だるい。たぶん午前中いっぱい、だるいだろうと思ってうんざりした。しかも、声も酒焼けして、ややしわがれてしまっている。今日は一日喋ってないといけないので、ちょっと面倒だけどまあいいや。そして結局、午前中どころか午後に入ってもかったるさは続き、一日の終わりの今になっても、まだかなりだるい。これほど、酔い疲れが抜けなかったのはたぶん初めてだ。二日酔い的な気持ち悪さではなくて、ただひたすら全身がだるい。風邪ひいたのかとも思ったが、たぶんそうでもない。久々に水泳を始めた直後の体調に近い感じだ。つまり疲労回復力がすごく低下しているものと思われる。まったく、つまりこれが、歳をとったということなのか。なさけない。昨日はしかし、結局4軒行ったのだ。さっき、最後に行った一軒のことを唐突に思い出した。あ!そうだそうだ、最後、あの店にまで行ったのか、すげえ。あきらめが悪いというか、意地汚いというか、餓鬼だと思った。まことに酒飲みほど醜い存在もそうはあるまい。結局全部でいくら払ったのか、帰りは何時の電車だったのか、ほぼおぼえてない。飲み過ぎた日の翌日だと僕の場合ほぼいつもだが、どうして支払いの瞬間のことが記憶から抜けてしまうのか。払ってないわけではない。すごくいっぱい払っちゃってるわけでもないのか。レシートとかも無いし。でも行けて良かったし、また行く。5月の夜の素晴らしさ。あらゆるものが混ざり合って濁った空気が身体にまとわりついてかすかに涼しい夜。そして帰り道、やたらと写真を撮りまくっていたようで、たくさんの夜の景色の写真画像が残っている。真っ暗な写真も多い。たぶん暗闇の中のすごい微妙な何かを撮りたかったのだ。そのことだけは、なんとなくおぼえている。