Jさん

地元の店に行ったら、たまに会うJさんがいた。相当酔っていて、いつものように他愛のないどうでもいいしょううもない話をだらだらしながら二合くらい呑んで、Jさんがそのうち足元もおぼつかないくらいになってきて、ねえ、この後もう一軒行こうよ行こうよと誘うので、じゃあちょっとだけねと行ってその店を出て、店を手伝ってるJさんと仲良しの子も一緒についてきて三人で少し歩いて、Jさんがここだと行って入ったのはまさに葛飾というか地元感満載な居酒屋風スナックで、カウンターにはおじさんがずらりと並んでいて、二つあるテーブル席に座るとキンミヤのボトルと氷とトニックだのウーロン茶だのがすぐ出てきて、わーまさにスナックだ水ものばっかりだとなって、しかしその店の明るい声で気さくに話しかけてくるおそらく中国人の女性が、たぶんもう若くはないけど手足長くてしゅっとした感じのけっこうキレイな人で、隣の席に座って酒をつくってるのを横で見ている僕はそれがぼんやりとうれしいのだが、でも酒がこれじゃあもうこの店には来ないなあと心のなかで思っている。ほどなくして先に失礼しますよと行って僕だけ帰った。Jさんはたぶんすでに前後不覚なまでに酔っていて、もし次回会った時にはたして今夜のことをおぼえているのか怪しいが、でもこの人は酔っていても面白い人で、あの店では誰もがJさんのことを好きだ。