たしか中学校一年生の頃、神様の絵を書こうと思ったが、神様がどんな感じだったか、どんな格好をしていたか、それがわからなくて、白衣に天使の輪みたいな、よくあるイメージが、そのときは思い浮かばなくて、しかたなく、トランプのキングの、王様の絵柄を真似して描いた。雲の上から、キングの王様が、下界を覗いているという絵になった。美術の時間に、課題を出されて、描かされたのである。どういう意味でそのような絵を描いたのか、今はもう覚えていない。別に神様を描けとか、そういうテーマではなかったはずである。

 その絵は後で、乗っていた自転車の後輪に巻き込まれて、激しい音をたてて、ばたばたばたと何十回転かしたあとで、地面に落ちて、泥まみれのぼろぼろになってしまったので、たしか、その場に捨てた。

 昔はそういえば、班長旗というものがあった。通学路を近所の5,6人の班編成で通うのだが、そのときいちばん年長の者が班長になって、班長旗を持たないといけない。

 その班長旗は布の旗に木の棒でできていて、木の棒がひかくてき柔らかい素材の木なので、木と木を叩きあって、折れた方が負けというゲームをするのである。なのでほとんどの班では、班長の持ってる班長旗は折れているのが普通になった。質の悪い木だと、折れると断面からおがくずのような粉がぼろぼろと出て、質の悪い品物というのがあるものだなあと子供心にも感じられた。

 あと、昔の洗濯機の、ニ槽式で脱水層に洗濯物を入れて回すと、今と違って昔はまだ、内側の槽が外側の枠に固定されてなくて、下側の回転部だけで支えられているので、スイッチを入れて回し始めると、回転がじょじょに速くなってきて、そうすると脱水槽が内容物の重みで傾いで、内側の壁にぶつかって、がん、がん、がん、がん、と結構でかい音で、連続打撃音が聴こえてきて、壊れるんじゃないかと思うくらいの音で回り始めて、しだいに音の間隔がせばまってきて、がん、がん、がん、がん、・・・という連続音が、しだいに、が、が、が、が、がが、がががががががががが、と激しくしばらくのあいだ炸裂して、しかしやがて、音がしなくなる。遠心力がきれいに働いて、槽がコマのように立って安定するのだ。モーターの涼しげな音だけが響きわたっているだけだ。

 こういうのは、すごかった。