気圧の急激な降下と上昇を経て、翌朝になり、空気の芯のところが、はっきりと冷たくなった。そういう気候だ。空は晴天なのに、頭の奥に冷たさが残っている。鼻の奥が不安定で、呼吸の按配も少し違っている。重力に違いが出たのかもしれない。草木に変化がおとずれた。桜の枯葉は掃いても掃いても、後から後から落ちる。透明な水の底でザリガニは仰向けになって死んでいる。地面のヒビから黒い水が沁み出している。