時間のあるときに撒き散らかした、意味のわからない、ばらばらなモノがやたらとたくさん放置されてあって、今やるべきことは、時間をかけてそれらを一々丹念に確認して取捨するなり懲りずにまたさらに撒き散らかすなり、することである。それに加えて、それをしながら、じょじょに楽しくなってくることである。楽しくなって、そのまま寝そべって全身を浸してしまうことなのだろう。それが翌日になって、あ、つまらないことをした。無意味な時間だった、と失望するのはもう慣れているというか、その流れの方が気分が落ち着くくらいのもので、それでぜんぜんかまわない。しかしそれも今この場の想像に過ぎず、現実なかなか、ぐっと自分の「制作」をするというのが、難しいものだなと思う。あえて自らそういうモードを避けているとしか思えない挙動を示しているともいえる。どこかの店でメシを食いたいとか、そんなことばっかり考えているのはなぜなのかと思うが、しかし大体において満足してるところが一番よくないのだろうなとは思うが、たかだが業務委託の丁稚の小僧が年取ったみたいな体で日々満足とか言ってるヤツは塵だろみたいな話でもあり、でも三連休も休みあると長すぎるなあと思いますけどね、みたいな話でもあり、でもさすがにおっさんでもあり、でも誰もがそうかもしれないけど結局本気で自分のことをおっさんとは思ってないというか、そう思うことが難しいものでもあり、ばらばらなものを見返して、くっつけたりはなしたり、ジグゾーパズルで過ごすのではない一日をつくるのか。雨の午前中に傘を手に片手運転で自転車を漕いだら、思いのほか身体は雨に濡れないものだと知った。傘を挿して自転車に乗ったのは初めてですか?初めてではないと思いますが、何十年ぶりとか、かもしれない。濡れないものですね。半ズボンの足にも雨粒をほとんど感じなかった。透明の傘のビニール越しに前を見て、素晴らしく涼しい風が全身に当たって。自転車はタイヤが水を踏む音をさせてすいすい進んだ。ああいうのだって、この年になって初めての経験だからな。


ホン・サンス「3人のアンヌ」DVDで観る。観終わって約12時間ほど経って、ちょっと忘れてきたけど、観終わってイザベル・ユペールをネットで調べたら1953年生まれで、それでこれは、すごくいいな。今まで観たホン・サンスのなかでもっともシャレてる感じ。わかりやすいというか、笑いやすいというか、いいと思いやすくて、ただひたすら観ていて楽しい。舞台となるペンションと浜辺を結ぶ道の周辺風景が、見事に殺風景で、日本の海沿いの地方都市の景色そっくりというか、僕の父親の実家の風景そっくりで、この殺伐とした荒涼感を背景にして、ワンピースを着たフランス人の女がふらふら歩いているのが、とりあえず休日にだらだら映画を観ているには最高だった。なんだかもうホン・サンスも、ただ普通にすごく面白いという話になってしまったのは本作がこういう感じだからなのか、僕がホン・サンス作品に慣れてしまったからなのかよくわからない。


ウェス・アンダーソン天才マックスの世界」DVDで観る。これはもう、すでに完成形ではないか、と驚く。ビル・マーレイ素晴らしい。作品、面白い。これはまた再見してもきっと面白い。