小田原


月曜日夜から研修施設で計二泊してさきほど帰宅した。はじめて東海道本線グリーン車に乗った。疑似旅行みたいな二日間。こういう、何時間か電車で移動して、すごく辺鄙な場所に泊まって夜は部屋にいるだけみたいな時間だと、完全お一人様モードで、さぞたくさん読書だの何だの出来そうに思うし、じっさいそうに違いないのだが、でも蓋を開けてみたら意外と何もしないでぼーっとしていたいものらしかった。風呂に入ったあと酒を飲みながら窓を空けて虫の声を聴いてるだけみたいな、そうしたら、ほんとうに虫の声以外の音がしない、こんな静かな夜はひさびさ。まったく知らない場所に滞在していることの感触をしみじみかみしめることにわりと忙しくて他のことができない。


そういえば行く途中、小田原で食事したあと、ふと見るとすごく斬新なデザインのビルが妖しく光りながら夜の空間に浮かび上がっていたので、うわ、すごいと思ってよくよく見たら、ビルではなくて小田原城が工事中らしくて全面が鉄骨の足場に取り囲まれて城全体に縦横の細かいモザイクラインが掛かったようなままでライトアップされていたのだった。