三十代


なったばかりの自分の三十代がまだあまりにも新鮮で、ここ数年の、今の会社に入ってからここまでの時間がまだとても、それまでは何も、だから会社員のスーツが包み込んで、買った靴が私の歩行を私は私の移動をはっきりと今を掴めて、なんの根拠もなく適当な気持ちでこちらに飛び込んで私がキャッチしてあげて抱きかかえることができて、二重化した私同士がこうしてしっかりと身体を重ねあっていれば他人任せの川の流れにしたがってどこまでも流れて行ってしまっていいんだという自信が生まれた。