筒井


筒井康隆はいま、八十一歳だそうな。すごい。ちょっと調べていて、僕は昔少なくとも筒井康隆の四十代頃からの作品をとりわけ熱心に読んだのだなとわかった。70年代半ばからの十年間くらいに書かれた短編のいくつかには、個人的に今でも愛着を感じるものが多い。それでも、ある時期以降はぴたっと読まなくなってしまって今に至るのだが、たぶん自分にとって、筒井康隆の作品とは、永久に四十代っぽい、あの雰囲気の感じだ。何が書いてあるということ以前に、あの中年感、あの重たさそのものだ。あれを十代に読み耽ってしまって、ああいう引き摺るような感触だけをいつまでも忘れがたいという。