駅まで歩く途中、風呂敷のような色をした羽織袴の男三人がすたすたと歩いていく。細長い、自己顕示の気合そのもの。公園入口の広くなった場所のあちこちに、スーツ姿や、着物姿が点々としている。この感じ。なぜか、一年に一度くらいは、この感じを見たいと思ってしまう。でも成人式なんてねえ、つまんないよねえ、これで、おうちに帰るだけだもんねえ、ふらふらしてる男たち。と、鳩みたいに固まってる女たち。午前中は寒かったのに、午後はそうでもない。子供がサッカーしてる。十人くらい、ベンチに座って、前にいるひとりの子が、何やら指示して、もう一人が、その場に寝そべって、他の子たちは前屈みで熱心に見てる。一瞬だけ、レンブラントの絵のようなものが立ちあがる。でも、もしあのボールが晴れ着にあたったら、大変なことに。子供の頃、外で遊んでいるうちに、身体の表面は冷たいのに、腹や胸の内側から暖かくなってくる感触が、急によみがえってくる。