自転車


電動アシスト付き自転車を人から安く譲ってもらって、それに乗って食べ物や飲み物や本やら何やら持って、近くの公園まで行ってきた。妻と二人で自転車で移動するというのが、初のことだと、もう十年以上前のボロい自転車をこぐ妻の後ろ姿をぼけーっと見ながら、ふいに気付いた。あたらしい自転車はなかなか凄くて、漕ぎはじめとか坂道とかに来ると自動的にペダルを踏む力を支援してくれて、まるで誰かが急に後ろから押してくれたみたいに、自転車が勝手に乗ってる人を助けてくれるというもので、これがまあ、こんなのに乗ってたらダメ人間になってしまうかもしれないというくらい、いくら乗っててもペダルをこぐ足は楽で、これでは自転車特有の、面倒なしんどい部分がいっさい無くなっちゃっていて、これだと自転車らしさはあまり無いなあと思っていたのだが、その後一時間もしたら、座っている尻の痛みが、耐え難く酷くなってきて、おお、これはやはり自転車だなあ、と思い直す。どうもサドルが、あまり長時間腰かけているようなタイプのものではないのかもしれない。結局今日はお昼から夕方まで乗って帰ってきて、尻痛もさることながら、家に帰ってきてシャワー浴びて夕食をすませてからも、まだかすかに妙な浮遊感というか、、歩行するだけで、自転車に乗って前進しているかのような錯覚を、未だ身体の方が感じているみたいだ。


ところで、自転車でも酒酔い運転は道路交通法違反らしい。でも酒気帯びくらいだとまだ勘弁してもらえるらしい。よく知らないけれども。でも酒に酔って自転車を運転するのは、さぞ楽しいだろう、そうに決まってるなと思った。とくに今日みたいな、いいお天気の日に、ほろ酔いで、電動自転車に乗っていたら、それはもう、最高に決まっている。だろうな。というか、まあ、自動車だってきっとそうだ。本来なら、酒に酔って運転したほうが、それは気持ちいいし面白いに決まっている。お酒なんてものは、身体を遠ざけて、いい感じの距離感をつくるためにあるようなものなのだから、そんな状態で操縦系に触ったら、それは面白いに決まってる。