寒い


今日は寒い。いよいよ来た。電車内で、互いに身を寄せ合いましょうと提案する。身体を固くして、皆が各々重石のようにその場にじっとしていた。髪に顔をうずめて眠っていた。しばらく目を開けていたつもりだった。香りを吸い込んでいた。また眠っていた。窓ガラスの向こうが、夜がゆらゆらと流れていき、駅名の表示を見落としてばかりだから、このままでは次の駅で降りるのも難しかった。