バンド


冷たい雨がずっと降り続く一日、だが外出。買い物しましょうと人混みの中をうろうろしたのだが最近はもう服とか見ててもいっさい面白くないので、たちまちのうちにダルい疲労感につつまれて嫌になってきたので、適当に入った似非パリのカフェ風な如何にもな内装の店内で安酒といいかげんな感じの値段だけはご立派なサンドイッチを注文して、こんなの家で5分で作れそうだなというくらいの、あまりにもチープな一皿を美味しくないワインで流し込んでいると、これってもしかしたら、一周回って実際にパリの観光地カフェで軽食取ってるのとほぼ変わらない体験かもと思った。


日が落ちてさらに寒くさらに雨が強風に乗って吹き荒れる空に向けて時折傘を風に奪われそうになりながらブルーモーション横浜。ここに来るのははじめて。やはりどうにもイマイチなフードメニューから注文したものをワインで流し込みつつ一時間ばかり待ってたら、ものんくるの演奏がはじまる。ものんくるはいいバンド。終わったら18:00過ぎ。外はさらに荒れていて大変な感じだったのでどこへ寄り道する気にもならずまっすぐ帰宅。とにかく今日は天候が酷かった。でも天候くらいに左右されてるようでは…。先が思いやられますよ…。パワー不足すぎるよ。ホンダエンジンかよ。


でも、バンドだな。やっぱり。バンドは、やってみて、ああこれはイケそうだ、とか、ああこれじゃだめそうだとか、そういうのって一瞬でビビっとくるものなのだろうか?たとえば、ローリング・ストーンズの彼らは、はじめて一緒にやったとき、ああこれはすげえ、これは行けるわとか、思ったのだろうか。バンドは、個々の上手い下手もあるだろうし、むしろ世間一般ではそういう尺度で測られがちだが、でも実際はもっと得体の知れないマジックというか、渾然とした音の世界というか質というか、そういうものがいきなり聳え立ってしまうような、そういう可能性を持つような組織体だろう。逆に、そういうマジックからは、最初から最後まで一切見放されながらも、律儀に真面目に何かを積み重ねていって、最後に成功したり、何事かを達成するようなバンドもあるだろう。それはそれで、とても魅力的な音だろう。バンドはそういう、色々な潜在性そのものとして常にある。別にこの人たちがずっと一生続けるわけではないけれども、すぐに解散できるほどの分業体制、ファンクション主義というわけでもない。そういう組織体の根本的な面白さなんだよなあ、などと思った。