「金曜日はおれ、会社休むから。次男の高校の入学式なんだよね。」
「え!?Nさんのご子息ですか。下の子がもう高校生!そうなんですか。おめでとうございます。」
数日後
「Nさん週末ですけど定時後のミーティング出席します?管理者以上が参加らしいですけど。」
「いや、だから言ったじゃん。おれ金曜休みだって。」
「あ!そうだった。忘れてた。休みか!」
「そうそう。」
「了解でーす。」
今日
「おかしいな。Nさん見なかった?あ!今日、Nさん休みか!」
1998年頃
僕がはじめてNさんを見たとき、Nさんは長髪で、代々木上原あたりのデザイナーみたい雰囲気の人に見えた。若い頃は、スケボー小僧だったらしい。
その後、廊下を歩きながら、突如として記憶制御系が一時的に乱れた。
「そういえば、なぜ今、自分は高校生じゃないのか」
「いま、高校生じゃなかったのだっけ」
「かつて、高校生だったことも、あったのか」
「もしかすると高校生だったのは前世の話だっけ」
こういう障害がしばしば起こる。