Async


ワタリウム美術館Ryuichi Sakamoto | Async 坂本龍一 設置音楽展 を観る。というか、観るというか、聴く。新作の「Async」リリースに際して、高谷史郎らの映像とコラボした展示空間内で、ドイツのすごい立派なスピーカーの5.1chサラウンドで聴くことができるというもの。今まで坂本龍一の音楽作品をちゃんと聴いてきたわけではないのだが、今作は一聴した限りとても良いような気がするというか、良い悪い以前に最初から聴きたい音楽の側として自分の前に登場してきたような感じがあり、自分とも関係のある音楽の感じがするというか、とにかく聴いてしまいたくなるような説得力みたいなものを感じる。会場ではじっくりと音に向き合えるので、これだけでも行く価値ありだと思う。時間さえあれば何度でも通って長時間入り浸っていたいくらいだ。ちなみに何度でも入場できるチケットが1500円で販売されている。


とはいえ、どうして今回の作品がこれほどノイズ的でグリッチーなものになったのかはよくわからないが、先日みた「ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ」の、やはり要所要所を亀裂のように走る強烈なノイズの、画と音と物語の見事すぎるほどの融合度合いを見てしまった後だと、坂本作品ですら各要素間にすき間というか、つなぎ合わせた感のような、作られた感のような気配を若干感じてしまう部分もあるかも…と言ったら言い過ぎかもしれない。というか、ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジを観た直後にこれを聴いたら、どうしてもあの映画のアナザーバージョンというか、あの世界のもう一つ別のパターンを、こんな音で表してみました、みたいな感じに、どうしても思いたくなる。まあ、そこは自分という容れ物に勝手なインプットで勝手にmixされてしまう結果なので、それはともかく本作は明日以降も何度も聴きそうであることは間違いない。