再会


今の会社に勤めて、すでに十八年・・・。あらためて考えると、その年月の非現実感に呆然とする。十八年もいたら、さぞ色々な出来事や経験があったろうと思われそうだが、それはたしかに色々あったが、まあ別に何もなかったと言えばなかった。


入社が99年だが、ゼロ年代中頃までとそれ以降で、ずいぶん変わった。その辺で一本、線が入っていて、時代が変わってる感じ。人も、がらっと替わった。だから、ゼロ年代前半以前のことは、遠い思い出みたいな感じになっているし、その頃いた人達とたまに会うのは、けっこう新鮮というか、その頃の時間に再会するというか、その頃に生きていた自分の姿を第三者視点から垣間見るような気がするというか、そんな不思議な気分を味わえる。今日はそういう会だった。しかし、久しぶりの人の顔を見て、その人の過去ではなく自分の過去に思いをはせるのだから、失礼と言えば失礼な話である。過去の知人は、今でもまだ自分の過去を生きていると思い込んでいる現在の自分。そんなものだろうか。ある程度昔からの知人というのは、過去の自分にアクセスするための触媒として自分の中に存在しているのかもしれない。だから現在の彼が、昔に較べてどんなに変わっていたとしても、あまり自分には関係がないというか、自分はそこを見ていないのかもしれない。いや、変わりすぎると、触媒としての効能が下がって、過去へジャンプし辛くなるから、それは困る。とくに外見の変化は、少ないほうがよろしい。失礼というより、冷酷というか、ちょっと、ひどい人かもしれない。


同窓会に出るのは嫌いではない。過去に再会する感触が楽しいからである。しかし、二度、三度と会うのはさほど興味を惹かれないので、一度目以降のお誘いは遠慮することがほとんどだ。二度、三度と会うと、もう過去の登場人物ではなくて、現在の知人でしかなくなってしまうからな。だからやはり僕は、自分勝手なのは間違いない。


九十年代の過去に再会したいとは強く思うのだが、相手がいないな。もう住所も連絡先も、名前すらおぼろげな記憶になってしまった人達ばかりだ。そのくらいでちょうど良いのかもしれない。