台風一過


夏が戻ってきたようだが、光だけが夏で風は涼しく蝉の声はせず、やはり季節は変わった。とはいえ歩き回ってたら熱中症を心配しなければならない程度には暑い。


実はまだ観てない名作を観ましょうの第二段として、ビデオで「去年マリエンバートで」を観た。なんとなくデュラス「破壊しに、と彼女は言う」を思い出した。ひたすら待機の続くヨーロッパ的な時間の質感と重みといった印象。バロック時代の古風な装飾の施されたホテルの廊下や客間、というものや、そういう在り方、時間の堆積に対して、自分の中にほとんど参照項がないとき、それが小説ならば、何となくイメージ補完しながら読み進めていける気もするのだが、映画になると、どうしても映っているものを観ているばかりなので、なんとなく興味の薄いままに進んでしまうというのはあるかもしれない。というわけで、わりとダラーっと観ていたら、そのまま終わってしまった。