なみのおと

キネカ大森で濱口竜介「なみのおと」を観る。連日、濱口竜介作品ばかり連続でとりつかれたように観ている理由は、妻につき合っているから。光がキレイで、カメラの前の人の顔がとてもきれいだ。全員がまるで役者のように整った顔立ちに見える。話手がいて、聞く相手がいる。二人が向かい合って話す、ことになっているが、途中から両者を真正面から捉えたショットが切り返されたりする。対話は続いて、やがて終わる。それが五組か六組くらい。車での移動シーンや風景のシーンがほんの少しあるが、ほとんどすべてが対話者の座ってる姿、室内の風景、顔だけだ。観る者は主に喋っている人の顔を見て、その表情を見て、語られている言葉そのものをじっと聞くだけになる。語られている言葉の意味内容もさることながら、こうして人が喋っていて、それを聞いて相槌を打ってる人がいて、それを見ているだけで、ああ、人がいると思う。上映時間は142分、今日はこれ一本だけにして「なみのこえ 気仙沼」「なみのこえ 新地町」は次回観る予定。