Pool with two figures

デビッド・ホックニーの絵。プールに泳ぐ人
平泳ぎのカエルのような格好のまま、水中にぴたっと静止したような姿。
泳いでるというより、潜水しているのか。

プールサイドから、それを見下ろしている人。上着を着てる。

泳ぐ人はコースの端まで泳ぎきる直前。
水をあと一掻きしたら、壁に手が着いて、その場に立つのか、ターンして泳ぎ続けるのか。

見下ろす男は、泳ぐ男が自分に気付くのを待っているのか。

足元、プールサイド、水底、それぞれの高低差。
泳いでいる人が、まるで地面の下にいるみたいだ。
泳ぐ人が見下ろす人の足元へ、ひそかに潜り込もうとしているようだ。

泳ぐ人は自分が真上から見下ろされていることに気付かない。
コース端に来たときに、見下ろしている人が屈んで、泳ぐ人の頭や肩のあたりを叩いたり触れたりしないと。
上からただ見下ろしてるだけでは、泳ぐ人は何も気付かずにそのままターンして泳ぎを続けてしまうだろう。

僕は、そのまま踵を返した。今日はよかろうと思って、その場を後にした。