火気

何百本ものスプレー缶に穴を空けて、湯沸かし器で火を付けたら爆発したという話を、自分はまるで、呆れたり苦笑したりできない。というか、事故とはこうして起きるものだというのが超リアルに伝わってきて他人事に思えない。湯沸かし器のスイッチを付けて事故発生というところが、まるで映画のどんでん返し的クライマックスシーンのように意外性に富んだ急速で鮮やかな状況転換を感じさせる。何年も前のことだが、バーベキューの鉄板の四隅を支えるためにカセットコンロを下に敷いていて、それが加熱して爆発したという事故があったようにも記憶するが、あれもやはり自分は他人事とつき放すのがむずかしい。似たようなことなら、ことによると、自分もやりかねない、やってしまうかもしれない、そう思わないわけにはいかない。この手の事故を、自分は大丈夫、けっして過ちは犯さないと確信できる人は幸いなるかな、僕は自分の直近の過去を、映画のシーンごとにバラバラにするようにして自分の一連の行動を単体で観なおしたとしたら、その都度自分で自分が何をして、何へのリスクを回避していたのか、あるいは何の脅威にさらされていたのか、おそらくまるでわかってない。