割引

コートをクリーニングに出しにいこうと思うが、割引券だのサービス券だのがやたらとあり、どれが使えてどれがダメなのかさっぱりわからない。まず100円割引券が大量にあって、これは一度の利用に一度だけ使えるのだろうから、これだけでは大したお得感はないのだが、その他冊子状になった年間サービス券みたいなのがあって1月から12月まで月毎に何らかのサービスが用意されているが利用期間は1日から10日までとなっている。しかしよくわからないのだがどの月にも切取線が引かれて端が切れるようになっていて、そこにはまた別のサービス内容が書いてあり、それは三年間有効らしい。でも冊子の構成から鑑みて上位カテゴリーと思われる月毎10日までの条件が子カテゴリーの三年間有効の端切れに適用されるのかどうかがよくわからない。そのほかにも前述の各種券とはまた別のデザインおよびサイズで、雨の日ならどうとかハンガー返したらどうとか単発で細かく色々ある。とりあえず、クリーニングしたいコートと共に紙の束をひとまとめを全部持っていくことにする。

店の受付台にコートを置いて、ふくよかで温厚そうな中年の女性に紙の束をどさっと差し出してこれ使えますかね?と聞くと、こともなげに、はーい使えますよーとのこと、でもお客さんちょっとその前にね、レジ脇のこれ引いてくれない?と言われて、何かと思えば厚紙をセロハンテープで巻いた三十秒くらいで作った感のある筒の中に四、五本のワリバシが立ててある、一本引くと先が赤く塗られていて、あーアタリです。お客さん今日半額ですねー、この割引券は今日は使えませーんとのことで、思わず声を出して笑ってしまった。帰ってから妻に聞くと、あの店はいつもそんな調子で、毎度様々に理由の異なる謎の割引が適用されて、会計するとまた大量に割引券が付いてくるので、いったい本来の定価がいくらなのか全くわからないのだそうな。