十年後


柴崎友香きょうのできごと 十年後」を読む。制約のようなものをあえて取っ払って、かなり自由になんでもやっているような感じだ。三十歳過ぎのけいとと真紀に、中沢の経営する店、夜のパーティーの賑わい、酒と料理、DJとライブ、美女の歌手、渋いメルセデス・ベンツ、深夜ファミレス、自動車炎上と、それこそ、映画化されたらとても華やかなものになりそうだ。けいとと真紀の酔っ払い方が正しく三十代女性っぽい。たしかに、飲み会などではこれくらいの年齢の女性がいちばんかしましい(偏見)。全体的にお祭りっぽいというか、映画の最後に全登場人物が出てくるような、ぱーっとした小説のように感じた。


友達の友達と、その日限りの、あるいは数年限定の付き合いが生まれるって、昔はあったよなあと思う。というか、今もたまにある。地元の友人たちが集まる忘年会に顔を出すと、初対面の人は必ずいると言っても良い。でも、それでもこの年になると、初対面で出会いということ自体が若い頃のそれとは違ってしまっている。一緒に蟹を食いに行った山田とか、今どうしてるのかなあ、とか思う(それは小説の中の話)。