かつての場所

久々に、歌舞伎町周辺を歩いた。三十年前とか、二十年前とか、そういったレベルの記憶にあるだけの、あまりにも遠ざかって久しい場所が、今ではこうなっているのを見たとき、その違和感というか、幻想崩壊の衝撃を感じながら、この実在の景色を見回しかないという気分だった。もはやいまさら、何が変わったとか、どこが無くなったとか、具体的にはっきりとは言えないのだけど、もう昔とは何もかも全然違う、ということはたしかで、我々がどう思うか以前に、景色の側が我々を受け入れてくれる感じではなくて、やけによそよそしくてぎこちない、不自然な初対面の雰囲気を醸し出している。昔は仲良しだったはずの人と、図らずもたまたま再会したときのような。