思い出したい

日々、仕事してるのが普通、みたいな感覚にようやく戻ってきたかもしれない。昨日あたりまではまだ正直、仕事してる自分と先週までの自分との乖離感というかギャップ感がどこかにあってスムーズに演技できてない感じだったのだけれども、さすがに今日あたりから、あぁ今の自分はこの場をふつうに演じている…と思った。

一昨日の水泳は20分でやめ、今日は15分でやめ、プールで泳ぎにというより、シャワー浴びに来たようなものだ。

誰だっけなあ、あの人は。はっきりしない。
誰関係の知り合いだったのか。
中学生時代か、高校時代か、大学か、それ以降か…。
そもそも、その人と一緒にいた場所が、いつどこだったのか、覚えてない。
十何年か前だと思うのだけれど、大学構内だったような気がするのだけれど、

とか、そういう風に誰かを忘れてしまって、それを思い出そうとするけど思い出せない、と言ったようなことは、ありうるだろうか。

あの漫画はすごく面白かったんだけど、誰の何ていう漫画なのかな?とか、あの曲なんていう曲かな?とか、そういうのはいくらでもありうるけど、同じように「あの人誰だっけな?」と思うようなことが、あるだろうか?

忘れてしまって、あとで思い出すとしても、まず学生時代だとか、あの職場だとか、旅行先でとか、そういう属性が先にきて、そのあとで人物が浮かび上がってくるのだ。「誰だったのか」というのが、そもそもそのときの自分の立ち位置とか関係とかを問うてる。

そうではない、過去の場や関係の記憶から切り離された人間というものがいて、しかしその人物を私は忘れてしまった、だから思い出したい…でも結局は誰関係の知り合いだったのか、いつの時代だったのか、どの場所だったのか、にとらわれてしまう。そのことが判明すると、思い出したかったことの核が忘れられてしまうというか、判明した情報とすり替わってしまう。思い出したいことは、そういうことではない。たぶん僕は昔、人物画を描くというとき、そのような思いをもっていたように思うのだが。