仕事帰りの妻が、最寄り駅から数分のところにある美容院に寄る。予約した時間に訪れると、いつも担当してくれる子が一人きりで迎えてくれた。店内はがらんとしていて、今日はほんとうならもう一人スタッフいるはずなんですけど、風邪でダウンしたので、今日は私だけの一人ぼっちなんです。あら、今日の予約客は、もしかして妻だけだったのか?そのためだけに店を開けてたのかしら、そうでもないだろうけど、もし飛び込み客が続けて来たらもうアウトじゃないですか。予約客無しなら、閉めてしまうかどうかは店次第だけど、結果的には、ガランとした店内、私、さっきまで、すごく孤独でした、静かな長い一日だった、風邪で倒れてだなんて、いや、そうじゃなくて居酒屋のお通しで、おなか壊したんだったか、客と美容師、いつもより少し饒舌になった二人が喋っている。帰宅した妻の頭が、キノコの山みたいになっている。