CRCK/LCKS ワンマンライブ"Rise in the East"の配信を観る。ギターの井上銘が、このライブをもって脱退するとの話だったのだけど、なんとステージ上で本人が「やっぱりやめるのをやめます」と言って脱退撤回という、ちょっと他所ではあまり見たことがない展開で、しかし面白かった。クラックラックスに限らず、昨今のライブでは観客は適度に距離を空けて、マスク付けて、声は出さずに拍手だけで、そういうスタイルを守るのがルールになっていて、それだから演奏する方も、客と一緒に歌うとか、コール&レスポンスとか、そういうやりとりは禁じ手になってしまっていて、すなわち昨今のライブというのは、どうしてもステージで演奏するのを、客席が聴くという前提が守られがちで、曲調もそのようなアレンジがほどこされ、客の声や反応を受け入れる要素ができるだけ控えめにされ、結果的にはまるでスタジオライブみたいな、落ちついた雰囲気の、じっくりと聴かせるような感が強く感じられ、それが聴いてる側としてはとても面白い。たぶんこんな条件でなければ、こんなアレンジにはならなかっただろうと思うような感じの楽曲が続く。クラックラックスは各プレイヤーの演奏技術がとても高いので器楽的合奏的にはかなり饒舌な印象で、それがときにはやや煩く感じられる瞬間もあるように自分は思うのだが、そのあたりも程よく抑制されていい感じに聴こえるのが今日のライブだと思った。そのうえで、あらためて井上銘のギターはクラックラックスの要であるなあとも、あらためて思った。意外にもギターが曲の骨格になってる曲が多いというか、どの楽曲の中核にもギターがしっかりと据えられて働いているのが、あらためて感じられた。井上銘のいないクラックラックスはひとまず撤回となったが、それがもし本当にそうなってしまったとしたら(ギターのいないクラックラックスとは)、いったいどんな感じに変わったことだろうか…と、ほのかに想像したくなった。