変わる

内輪での送別会のために、六月に内輪での歓迎会をやったときと同じメンバーが集まった。

君が四月に、初めてこの現場に来たとき、僕がフロアを案内して契約だの規約書類だのを読んでもらって、この後もしよければランチを一緒にどう?と誘って、君も僕や他のメンバーたちと同じテーブルでお昼を過ごしたのだった。あの頃、慣れない環境に君はまだ緊張していたので、ずいぶん物静かな子だなと当初の僕は思っていたのだけど、蓋を開けたら君は物静かな要素なんて微塵もない人だった、一週間もしないうちに、あっという間に、今の感じになってしまったんだったな。まあ、楽しい時間を過ごせて何よりだったな。今日、君の仕事を引き継ぐためにやってきた新人の子に、僕はあの時と同じように、もしよければランチを一緒にどう?と声をかけて、その子と僕、そして君も同じテーブルでお昼を過ごした。それにしても、じつに物静かな子だったよね。話しかけてもあんまり話題が広がらなかったけど、でもきっとあの子も、君みたいに数日したら変わるだろうか。

坂中さん、私は四月の時点と、今とをくらべたら、坂中さんが変わったと思ってます。四月に私がここに来たとき、坂中さんはもっとつっけんどんで、今よりも心を開いてなかった。ちょっと、気取ってたんじゃないですか?でも、今は、そうじゃないですね。坂中さんは、四月に私の相手をしてくれたときよりも、今日の方がずっと気さくで優しい態度で、あの子に接していたと思いますよ。だから私は、私が坂中さんを変えたと思ってるんです。坂中さんが、私とたくさん話をしたから、坂中さんの良い面がたくさん出てきたんだと思ってるんです。

うそだろ、うそだろ・・・そんなはずはない、そんなはずはない。でも、もしかすると、そうかもしれないね。そうかもしれないね。そう思うべきかもしれないな。