ryota

僕は下の名前を「りょうた」と読むのだが、僕が子供の頃だから四十年近く前ということになるけど、当時の男子でそんな名前は、じつは意外と珍しかった。〇〇太という名前が、僕の時代(団塊ジュニア世代)前後で流行した名前の傾向からは、かなり外れていたものと思う。小学生のときに、名前で馬鹿にされたような記憶もかすかにある。子供の名前としては、当時の感覚ではちょっと古めかくて野暮ったいイメージだったように思う。

1974~1970年(昭和49~昭和45年)子供の名前ランキング
http://www.tonsuke.com/nebe6.html

そうだった。当時のクラスには、まさにこんな感じの名前の子ばっかりだった。誠、大輔、剛、健一…って、皆クラスに実在した連中じゃないか。

なぜ「りょうた」という名前を付けたのか父親に聞いてみたこともあるのだが、「じつは『りょうたろう』にしようと思っていたのだけど、祖父に相談したら姓名判断だか占いだかわからないが、何らかの理由で『りょうた』の方が良いということになった」と、そのとき父は答えたのだった。子供時代の僕はそれを聞いて、「りょうた」の方がまだマシだ、もし「りょうたろう」にされていたら、如何ほどの辱めを受けたことかと、背筋がゾッとしたのをおぼえている。しかし「りょうたろう」も、今の感覚ならぜんぜんおかしくない名前だろう。いずれにせよ上記のサイトを見ていると、やはり80年代以降、〇〇太が増えてくる感じがする。年代によっては「りょうた」もちらほらとランクインしてるみたいだ。今や「りょうた」はすっかりメジャーになった。もはや、ありふれた名前と言っても過言ではないだろう。

(ちなみに「吉田栄作」というタレントが後にデビューしたとき、あの外見イメージにまるでそぐわないその名前---と自分は思った---に、新鮮な衝撃をおぼえた。)

なんでこんなことを書いてるかと言うと、最近「りょうたメジャー化」を実感することがよくあるからなのだが、どんな時かというとたとえば土日の昼間に近くのスーパーとかで、ふざけてじゃれ合ってる兄弟を叱るお母さんとか、こちらを追い抜いて走り去って行く子供とお母さんの自転車に遭遇したときなどだ。そんなときのお母さんは、あまり周囲をはばかることなくでかい声で我が子を叱ったりうんざりした声で諭したり、そんなやり取りを街中で聞くことは多いのだが、「こら!りょうた!もっと端っこ通りなさいよ!」とか「ほらー!邪魔でしょ、りょうたー!ほかの人の迷惑でしょ、おとなしくしなさいよ!」とか、…そうやって出し抜けに、見ず知らずのお母さんからいきなり叱責・罵倒される瞬間。そんな機会が、最近ことのほか多い気がするのだ。まあ一瞬ぎょっとして、状況を察して何事もなかったかのように目をそらし、それでもひそかに、けっこうしみじみ、目を細めつつその言葉を反芻して味わい噛みしめているのだが。

ちなみにお母さんが子供を、ではなく、飼い主が同名の犬を叱ってるパターンもある。