絆創膏

だから、あわてて鞄に手を突っ込んで何かをまさぐったりすると、それで引っ掛けた爪の先が割れたりするから気を付けろと以前自分に言い聞かせたのに、そんなことはすっかり忘れていたのだ。兆候はあった。数日前に中途半端に割れたのを、爪切りで除去して、部分的に深爪になって妙な先端形状になったのを、まあいいかとそのままにしていたのが悪かったのだ。あの時点で用心していれば、今の事態は避けられた。それがこの有様だ。取ってしまうわけにもいかないし、何もせずこの状態を維持するのも厳しい。絆創膏でガードしつつ、指先に気を遣う毎日を過ごすしかない。しばらくは毎日絆創膏を貼りかえる日々だ。とくに痛くも何ともないけれども、もし万が一これ以上に、やってしまったら、それはちょっと辛い、想像するのもいやな、ここに説明するのがはばかられるような話になってしまうので、そうはならないようにがんばってケアしたい。しかし最近の絆創膏の品質の秀逸さにはおどろく。手を洗ったり、皿洗いしたり、水泳したりと、過酷な条件下でも相応の粘着力を維持してくれる。いったん剥がれてしまっても、水分を取って貼り直すと、きちんと復帰する。剥がれるから取り替えるというよりも、汚れてくるから取り替えるという感じ。こういうのを、この貼りつく触感と持久力と治癒の効果とかを、ずっと研究開発している人が、この世にはいるのだろうなあ。