展示作品より

DIC川村記念美術館「ミニマル/コンセプチュアル…」の展示作品より、河原温がフィッシャーから展示の依頼を受けて、(たしか、フィッシャー宛の手紙で)一度は消極的な姿勢を示した、とあって、なかなか生々しいというか、河原温の「身体」(思い)を感じさせる逸話だな…と思った。

会場には、「日付絵画」数点の他、前述のタイプされたフィッシャーへの手紙とか、展覧会の招待状とか、1971年頃に開催されたフィッシャーギャラリーでの会場写真も展示されている。当たり前のことだが河原温も、展覧会を準備して催す美術の作家だった、と今更のように思う。

所謂ランドアート的な、自然物を素材にして作品に取り込んでいくような手法に、自分は妙な警戒心というか偏見レベルの軽い抵抗感をおぼえなくもないのだが、しかしリチャード・ロングは、やはり素晴らしいと思った。これはたしかに認めざるを得ない質をもつ「作品」だと納得させられる。

リチャード・ロングの作品をたくさん観ているわけでもなく通り一遍のイメージしか持ち合わせてないけど、どの作品にも一貫する何か、「作品」としか呼びようのない、ある動きというか振る舞いの気配というか、なにかそういうものの感じが、今回展示されてる「コンラート・フィッシャーのための彫刻」(1968年)にもすでに濃厚に漂っている。リチャード・ロングのデビュー翌年の作品のようだ。

あとは所蔵作品のロバート・ライマンの大作は、あれを観ているときの印象にいちばん近いのは、もしかするとレンブラントの自画像ではないかと思った。どちらの作品も、油彩という素材そのものがよろこんでるような質感(とも言えないような、ほとんど見てるのか見てないのかわからないようなレベルでの何か)において、似ているのではないかと(レンブラントの絵で決め手になってるのも、おそらくは透過層の下に潜んで仕事をしてる「白」だろうし)。