DUNE デューン 砂の惑星

Amazon Primeでドゥニ・ビルヌーブ「DUNE デューン 砂の惑星」(2021年)を観た。古いSFとは、こういうものだな…という感じだった。じつにゆったり堂々としたテンポで、まるで巨大なクジラみたいに悠々と展開していく感じ。思えば、こういう大河ドラマ的にどこまでも続くやつこそが、子供の頃にすりこまれたSF映画の質感そのものだったので、昔なら話も何も全然どうでも良くて、ただひたすら画面内のさまざまな物象に目を見張り、胸を高鳴らせ、夢中になって食い入るようにそれを見て記憶に刻もうと躍起になって、そういうことの繰り返しの積み重ねと共に、物語らしきものがぼんやりと垣間見えてくる、それこそが、サーガというものだったなと思う。まあ自分にとってそういうSF映画の代表はスター・ウォーズで、それ以外でとくに心奪われた作品はほぼないし、スター・ウォーズさえ最初の三作品以降はほとんど他人事だったので、その手の長いやつとほぼ無縁な人生だったのだけど、しかしというかだからこそなのか、最初のうちは、うわーこれは、ぼくが今さら見なくても良かったやつかもなあ…とも思ったのだけど、しかし見てしまえばそれはそれで、それなりに面白くなってしまうところはある。あと砂漠の扱い方の面白さ、まるで海のような、砂虫という怪物が、生物というよりはまるで災害のような、人間の思惑よりも大きな現象のように描かれている点や、従来の政治・外交の枠内で右往左往しているかのような男性陣(父方)に対して、謎の力を使いあぐねつつ自らの存続につなげるべくその手段を模索しているかのような女性陣(母方)との対比、次作以降に広がるはずの主人公と原住民族とのかかわりなど、終盤にきて各要素ようやく揃ったという感じで、このあと続編が公開されたら、やはり見てしまうのかもしれない…とも思う。

ちなみにデビッド・リンチ版「砂の惑星」が公開された当時、僕は中学生だった。いまだにおぼえているのだけど、デビッド・リンチ砂の惑星」と、ウォルフガング・ペーターゼンの「ネバーエンディング・ストーリー」のどちらを観に行こうか迷った末、後者を選んでしまったのだった。あれは失敗だったというか、どちらも観れば良かった。