料理本

料理本とは、まずジャンルや目的などのテーマが設定されていて、その下に手法や調理器具の条件があって、そこから肉、魚、野菜、ごはんなどのカテゴリーに分けられた複数の料理レシピが載ってるのが一般的だが、そういった本を書店でぱらぱらと見ていて、よしこの本は買おうとなるときの決め手になるのは、テーマや条件を飛び越えてその本の著者の嗜好が自分らのそれと合ってるように思えるかどうかだろう。

もちろん食物や素材の味わい経験や知識において、自分らの知識や経験は素人レベルに過ぎないのだが、それはそれとして、つまり著者の料理を我々がどう思うかではなくその逆で、我々のふだんの素人料理の嗜好や好みを、この著者がもし知ったら、この人ならある程度こちらの思いをわかってくれるのではないか、その肯定や理解のもとに、あらためてこの本からふさわしい提案をしてくれるのではないかと思えるような著者の本を選ぶ、ということだ。

料理本を読んでいるとき、おそらく自分らの食事の仕方、好み、分量、皿数とか、そういったところまでおぼろげに想像している。そのなかにこれらのレシピのラインナップがいくつも収まるようなら、それはつまりそういう選び方をしているのだと思う。

それでじっさいに買ってみて、掲載されてるレシピの半分以上をつくってしまったような本もあれば、そうでもなかった本もある。