プラットホーム

朝十時頃の、高架上のプラットホームに、斜めから陽の光が差し込んでいる。そこに立つものすべてが、等しく陽の光を浴びて、等しい比率の影を投影している。このプラットホームぜんたいが、空中に浮かんでいる細長い板のようだった。

電車の到着時間が近づくにつれて、少しずつ人が増えてくる。のそのそと歩いて、小集団の後ろに、少し距離をとって立つ。誰もがのそのそと移動し、やがて適当な場所に立つ。どの場所に人が集まり、どの場所には集まらないのか、そこに規則性があるような無いような様子が、花の周りを飛ぶ虫の動きに似ている。

立つ人は誰もがうつむいて、手の中にある液晶画面を見る。時折思い出したように、移動したり、荷物を置いたり、ひとしきり身体をもぞもぞと動かし、再びうつむいて、手の中にある画面を見る。

こうして今、陽光降りそそぐ下で、ここにいるすべての人がそんな様子で立っているのを見て、百年前の人に、この光景を見せたいと思った。人間はついに、すごいところまで来たねと言われる自信があった。