パパイヤ・ママイヤ

乗代雄介「パパイヤ・ママイヤ」を読んだ。いろいろ悩みや問題をかかえた十代の女子二人が知り合うところからはじまって、木更津の浜辺近辺を舞台に、かなり風変わりで忘れがたい経験をするという、直球の青春小説という感じだった。スマホいる/いらない、運動神経ある/ない、頭良い/悪い、お弁当作れる/作れない、自転車に乗れる/乗れない、高いところ好き/嫌い、泳げる/泳げない…が、巧みに組み合わさって、二人の相互理解に奥行きをあたえていき、友情とも恋愛ともつかない相手への執着、思慕、尊敬のようなものが形成されていく。その関係性の変化過程がとても読み応えある。そして登場人物二人のやり取り(会話)が、とても面白い。このやり取りをずっと聞いているのが楽しいと思う。
こういう、いわば「ベストフレンド」との出逢いみたいな、私の分身でもあり、支えでもあり、私の憧れでもあるような相手との関係をテーマにした物語は、きっとマンガの世界など探れば、過去に名作など多々あるのだろう。たぶんそれらを愛好する人々とは比較にならぬほど、僕はその手の物語に触れた経験が少ないだろうと思う。