年末

なぜか今年はとくに、ほとんど年末という感じがしないのだけど、そもそもこれまで自分は、何をもって年末感を感じていたのか。年の瀬、師走と呼ばれるあの感じ。買い物客の賑やかな列、かきいれ時の店や酒場、打ち上げ、宴、乾杯、喧騒、交わされる定型の挨拶。そして夜が更け、すべての残響が消えたころにやってくる不思議な静謐さ、冷え込んで澄んだ空気の夜。鐘の音。…みたいなあれ。

だとしたら、たぶんそのような景色はおそらく今年も例年とさほど変わってないはずで、しかし自分がそういった事象にある種の感慨めいたものを、もう感じなくなっているのか。それは自分のなかに季節感というものが失われていることを示すのか、あるいは世間への関心が失われていることを示すのだろうか。

(それとも、もしや何かの「後遺症」だろうか…)